大切な人へ

『ありがとうございました。
またお願いしてもいいですか?』

「もちろん。気を付けて帰りなよ」

『...はい!さようなら』


頭を下げるとまたあの笑顔を見せてくれて
ドキドキしながら帰った


初めての勉強会は緊張しっぱなしで…
でもすごく嬉しかった



それから私は授業の終わりや職員室で
また次の約束をしに行った


何とか彼との時間過ごしたくて
必死で質問できることを探してた


一番の楽しみは 始める前の少しのお話し

彼は25歳で8歳年上
1人暮らしで車で来ている
大学まで陸上を続けていて 今は陸上副顧問

私の話しも聞いてくれて
そこには穏やかな時間が流れていた


約束してから委員会が入ってしまっても
その後から教えてくれる事もあったね

真面目な先生はよく残って資料を作ったりしてたからそんな日は職員室に迎えに行ってた





もう季節はすっかり夏
もうすぐ夏休みで会えなくなってしまう

だから今日は一番聞きたかった事を聞く‼




『先生っ 先生は彼女とか…いるんですか?』

言った!遂に聞いた!
でも…いるって言われたら…泣くかも



「…いないよ」

多分赤い顔だろう私を少し見つめて
ふっと下に視線をそらして言った

必死で喜んでるのを隠して そっかと答える。





「藍野さんは?」


_______はい?


「彼氏いるの?」


まさか私も聞かれるなんで思わず
ポカンとしてしまう...



『いないですっ!ずっといないです!』


あ…ずっとはいらなかった


思わず余計な事まで口走りうつむく…


「ふっ…あははっ!
そうなんだ。意外だな~」


___‼ こんなに笑ったの初めてだ



『先生もいないんだったら
一緒じゃないですか~』

恥ずかしさも吹き飛んで
ドキドキしながら一緒に笑った




『…だから 夏休みもかまって下さい』

どさくさに紛れて赤い顔で言ってみる



「ん~じゃぁ…花火でも一緒に見る?」




うそ…




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