大切な人へ


この話を人にしたのは初めてだった

どうして全部話してるんだろう


井川くんがいつになく優しいからかな

本気で心配してくれてるからかな...



『でもね。今はもう大丈夫!
ありがとうって言えると思う。
お付き合いは出来ないのは変わらないけど
告白されても、もう泣かない!』

あの時の先生が言ってくれた言葉が
そう思わせてくれたから

お礼を言いたいって思えたから



「付き合えないって言いきるのって
...藍野に好きな人がいるってこと?」

小さな声で言った彼の言葉に
先生の顔が浮かんだ



『...うん。
どうしたいかまだわかんないけど』

私は素直に答えてた



彼はうーんっと背を伸ばして


「そっかー。

じゃあ俺にもありがとうって言ってよ」




...え?






彼の方を見ると ふっと笑った

「付き合えたらいいなって思ってたけど
泣かせたくないしやめとく」

『井川くん...ごめん』

「泣かないんだろ?
...ありがとうは?」


優しく笑ってくれる彼に
私も笑って答えた

『ありがとう!井川くん』


ずっと紗羅が好きだと思ってたから
まだちょっと信じられないけど

井川くんの気持ち、嬉しいよ


ショウちゃんのと同じだけど
好きだし大切な友達だから...

また今までみたいに一緒にいたいな__





「あっちはうまくいったんだろうな
連絡ないってことは」

『かな?どうだろうね』

「へらへらしてたら殴りそう」

『やめてよ~ 笑』

気まずさなんて感じさせないように
笑ってくれてるから

それがすごく嬉しかった




その後2人で花火を見て
紗羅たちと合流した


すごく謝られたけど
2人がうまくいったって聞いて

おめでとうと
私が紗羅とまたハグハグしてる時


後ろで上田くんは
強めの祝福を受けていたらしい




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