ラブ パラドックス
空いてるほうの手で携帯を取り出すと、そこに表示されていたのは、母の友人の聡子おばさんの名前だった。
「ちょっとごめん」
夏目くんに断り手を離し、歩道のわきに立ち止まり通話ボタンを押す。
寒さか、動揺か。一度で反応しなくて焦る。
嫌な予感としか言えない、胸騒ぎがする———
「何かあったのか?」
その言葉で、はっと我に返った。
全身から血の気が引いて、足に力が入らず、地面にへたり込んでしまいそうだ。
どうしよう。
どうしよう。