ラブ パラドックス
呼吸が苦しくなって、わたしから離れると、夏目くんはそれを許してくれない。

すぐ唇が追ってきて、後頭部の後ろに手が添えられた。


重なり続ける唇の隙間から、ついに声にならない声がこぼれたその時。


キスをしながら、手探りで乱暴に靴を脱いだ夏目くんが、私のショートブーツも器用に脱がせた。


夏目くんに腰を抱かれ、扉一枚隔てた向こうの部屋へと移動する。

ひんやりと底冷えのする部屋に、玄関ポーチのオレンジ色の灯りが差し込む。


それは、ベッドを照らしていた。


初めての夏目くんの部屋。

観察する余裕も暇もなく、キスをしながらベッドになだれ込む。


二人の息遣い。止まることのないリップ音。互いの衣服が擦れる音。

ベッドのスプリングが、小さく軋む音が耳に届く。



自分だけ身を起こした夏目くんが、自分の着衣を、まずコートを脱いで床に落とした。

スーツの上着、ネクタイ、Yシャツと、次々に脱いでいき、鍛え抜かれた上半身が現れた。


その勢いのまま、仰向けに横たわる私の手を引っ張って起こし、同じようにコートから床に落とし、器用にニットを首から引っこ抜いた。
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