ラブ パラドックス
「葉月」
その震える指で、夏目くんの頬に触れる。
夏目くんがすぐその指を絡めとって、強く握った。
「好きだ。お前も俺と同じ気持ちだろ?」
頷いた。
でも、「わたしも好きだよ」って口にできなかった。
唇が、前触れもなく重なってきたから。
心構えも何もなかったわたしは、近づいてくる夏目くんの顔が少し傾くところと、徐々に閉じられる瞼を、しっかりと確認した。
実際は、あっという間の出来事が、スローモーションに見えた。