ラブ パラドックス
涙の原因は何だろう。


俺に話してみろって、優しい言葉をかけてもらえたうれし涙?

それとも、ほっとして気が緩んだ涙?


どっちにしろ、私が涙を流してしまったせいで、夏目くんが自分を責めてしまわないように。

こんな私のことを、もっと知りたいと言ってくれた夏目くんに。


知ってほしい。


でも

「…吐きそう」

「は?おい、トイレどこ。まだ我慢しろよ!」

「やばい…」

「マジか!」


夏目くんに抱きかかえられ、ふわりと浮かんだ体。

生まれてはじめての憧れのお姫様抱っこは、こんな最悪なシチュエーションで。

両手で口を押え、恐らく顔面蒼白。


申し訳なさとか、恥じらいとか、そんな感情を持てないほど切羽詰まっていて、ただただ、トイレまで持ちこたえようと必死だった。


夏目くん。

今日すごく楽しかった。


最悪なデートの締めくくりにしてごめん。


< 85 / 294 >

この作品をシェア

pagetop