ポンコツ同盟

「もしかして話してないのか!?」

「…うん。」

「どうして?」

「…俺が、優人と一緒にいたいから進路変えるなんて言ったら、優人は気を使って自分の進路を変えちゃう気がして…。優人の夢の邪魔はしたくない…。」

「いやそれたぶん、優人くんも同じ気持ちだよ。優人くんも匠の進路の邪魔したって後で分かったら悲しいよきっと。」

「優人がいれば俺の夢なんて。」

「それがいけないのよ!あんたは良くても、優人くんが一生後悔する。優しい優人くんなら尚更!」

「…」

「ねえねえ、進路の話で白熱してるところ悪いんだけど、これどう?」

一切口出しして来なかったお母さんが、口を挟んできた。

「…何?お母さん。」

「これ見てー。」

お母さんはスマホを私たちに見せてきた。

「ここの大学。優人くんの志望大学から近くて、匠の行きたい学部もあるんだけど。」

「「「え!?」」」

「お母さん、優人の行きたい大学知ってたの?」

「うん。優人くんのお母さんから聞いてたし。優人くんの学びたい学部は県内にはないって話してて。ここなら、優人くんの大学から電車で2駅、歩いたら30分の距離だし、大学は違えど、すぐに会えるわ。何より匠は好きなことを勉強できる。ただ、A大よりも少し偏差値高いから、一生懸命勉強しなきゃね。」

お母さんの一言で、すべてが解決した。

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