下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「この部屋、禁煙?」


「あ、いえ。でも、灰皿とかなくて」


「ケータイ灰皿あるから。換気扇の下なら吸っていいか?」


「はい、どうぞ」


───カチッ


ライターの音と一緒に煙る慣れないタバコの香り。


茶碗を洗う隙間に右隣の係長を見上げると、煙の向こうにおいしそうにタバコを吸う切れ長の目がぶつかった。


「ヤ?」


「いえ…。わたしは吸えませんけど、香りとか別に嫌いではない、です…」


「そ。あのさ、カナ」


「はい…?」


「お前、きっとそこら辺の女子職員より仕事デキるヤツだとオレは思う」


「まさかっ。わたしなんて…」


「だから、なんてとか言うな。カナ見てるとさ、料理から片付けの一連の作業がスムーズかつ無駄がない。次の段取り考えて料理をするから時間のロスがない。茶碗洗い1つとっても、見てみろよ、水切りカゴん中。ちゃんと収まるよう順序良く積み重なってる上に、乾きやすいように収まりきってる。一歩先を見て手を運んでる、だろ?」


「いえ、別にこのくらいは…」


「それが大事なんだよ。もっとさ、自分の仕事に自信持て。確実にこなせることを1つでも増やしてって、仕事にかけてみろ。仕事ってやり甲斐があっておもしろい、そう感じられるようになったら迎えに行ってやるよ」


「…迎えに?」


「意味、わかる?」


「…わかりません」


「あ、そ。ま、オレなんて所詮、間違って告った男だしな」


「そうかもしれませんけど…っ。何て言うか…間違った相手が下村係長で良かったかも、とか…変ですか?」


「それって仕事上のメリット?」


「そんなんじゃなくて…」


わたしは水で濡れた手を布巾で拭い、俯いて自分のスカートの裾を握り締める。
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