素敵な夜はあなたと・・・~君に恋していたい~【番外編完】
「ねえ、お母さん、ベッドそのままにしているから少し横にならない?」
お母さんがお父さんの下へ嫁いでいっても、お母さんの部屋はそのまま残している。お父さんがここで一緒に暮らしていた時のまま大きなベッドが何時でも使える様に置いていた。
「お父さん、お母さんをベッドまで運んでくれる?」
「茜、布団は敷いているのか?」
きっと、お父さんは、ベッドはあるものの眠れるような布団を私が準備出来ているとは思っていないのだろう。
だって、お父さんがここで一緒に暮らしていた時、私は包丁一つ握ったことのない娘だったから。
だから「昔の私とは違うんだよ」って主婦の顔をして答えた。
「うん、いつでも眠れるようにお布団は干しているから。直ぐに使えるよ。」
「茜、しっかり主婦をしているのね。安心したわ。」
お母さんの言葉が嬉しくて私はこれまでにないほどの笑顔をしていた。
「幸せにして貰っているのね。」
「うん、幸せだよ。」
私の笑顔を見てお母さんは安心したのか、青白い顔をしていたお母さんの顔にも笑顔が見えた。
「さあ、美佐。少し横になろう。」
お父さんに抱きかかえられるようにお母さんは元の自分の寝室の方へと行った。お父さんが居てくれるから新婚さんの邪魔をしたくなくて私はリビングに残って二人の後姿を見ていた。
「茜の時はあそこまで気分悪そうにしていなかったのにな。どうしたんだろうな、美佐のヤツ。」
お祖父ちゃんはお祖父ちゃんなりに心配はしているようだった。ならば、お母さんの前でももう少し優しくしてあげればいいのにって思ってしまった。