こんな私が、恋したみたいです。
「…えー、」



不満そうな声を出すけど、こっちだっておあいこだ。



そんなの、ズルすぎる。



私のドキドキが、ばれちゃう。



無理やり歩き出したら、後ろからチャリの音がした。



「ねえ!」



「もー、なに?」



やたら構ってくる。嬉しいんだけど、声を聞くたびにドキドキするから。



「遠回りしようよ!」



「なんで?」




「そっちのが腹空くじゃん!!」



「ガチ勢かよ」



そう言いながらも、笑って、方向を変えた。



「りっちゃん、ここら辺全然来ないの?」



「うん、家こっちじゃないし」



悲しくなるぐらい、逆方向。



「りっちゃんちの近くは何あるのー?」


「なんもないよ、ひたすら住宅街。うちは特に駅からも遠いし」



りっくんちの周りは、大きな店がいっぱい。


「へぇ。じゃあ静かだ」



「そーかも。」




初めてする、お互いの話。



くすぐったい。



「そっかあ。俺も行ってみたいな」



「だから何もないって」



お年寄りばかりの街。



そこら辺でいつもやってる井戸端会議。



「でも、そういうとこ行ったことないし」



「都会人かよ。でもね、おばあちゃんと仲良くなるとよくチョコくれるよ」



りっちゃん、よく頑張ってるね。


昨日ずいぶん遅くまで勉強してたでしょ?お疲れ、チョコあげる。



あのばあちゃんたちにも、高校に入ってからあまり会わなくなったけど。



「今度連れてって!」



「いいけど、美味いラーメン屋もアイス屋もおっきいショッピングモールもないからね」



「わかったって」



笑って、りっくん見て、ずっと喋りっぱなしで、楽しく歩いてたら、



「着いた」



人が2、3人並んでる、小さなラーメン屋。



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