結婚の約束をしよう
「話したい事って何?」

「…。」

少し歩いて人気(ひとけ)が少なくなってきたところで、ようやく私は長谷川さんの腕を離した。

雨は、その勢いを増していた。

「長谷川さんって、陵…あ、笹野陵のこと、好きなんだよね?」

「ーーーは?」

「え…?だって私にそう言ってたよ、この前。」

「何であたしが…竹田さん?だっけ、話したこともない竹田さんに好きな人の事を言わなきゃいけないの?」

「じゃぁ…!」

やっぱり陵のことをーーー⁈

「だいたい笹野って誰?もう行っていい?」

目の前が暗くなりかけたと同時に、長谷川さんは私に背を向けようとしていた。

待って…待って……!

「待って!だって私、長谷川さんが陵に告った時…実は隠れて聞いてたの!みんな、陵のこと知らないの!忘れちゃってるの!」

長谷川さんに行って欲しくなくて、思い出して欲しくて、すがる思いで必死に腕にしがみついた。

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