結婚の約束をしよう
「竹田。」

しかしその祈りが届く事はなく、”笹野”を呼ぶ前に私の名前が呼ばれたのだった。

それは、番号順で呼ぶと言った先生の口から、陵の名前が呼ばれることがなくなった瞬間だった。

「はい。」

小さく返事をして、静かに席を立つ。

先生がいる教卓のところまで歩く間、私は考えていたーーー小さな小さな可能性を。

「この通知表を参考に志望校をどうするか、休みの間に親御さんと相談しなさい。」

「はい…。」

通知表の結果と、年明けにある学力テストの結果を照らし合わせて、最終的に志望校を決める。

チラリと見えた数字は、志望校ギリギリだった。

やっぱり先生は、確実性を高めるためにランクを落とせと言いたいのかな。

「どうした?もう席に戻っていいぞ。」

「先生…。」

「なんだ?」

「陵の…笹野くんの通知表、私が届けましょうか?私、家が近いんです。」

陵は今日お休みで、だから先生は陵の名前を呼ばなかった…という、私が思いついた小さな小さな可能性。
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