火恋 ~ひれん~
〇月△日 (金)

ガキが生まれた。女だった。
一ツ橋の虎徹がバカ親丸出しで、見てるこっちが恥ずかしい。

名前は(みやび)。どっちに似てるとか中根由里子が騒いでたが、見て分かんの。あんなシワシワのチンクシャで。

オレは志信(しのぶ)のモンだし、自分のガキは作れねーし。赤ンボと暮らすことなんか一生ないハズだったってのに。

・・・あんなのをテメーの腹ん中で育てるとか、女ってナンなんだ一体。
産むのに立ち会った相澤代理が、死にそーな面になるくらいの修羅場だったクセして。
終わったあと『なんか藤くんの顔みたら安心した』って、花が咲いたみてーに笑いやがった。


・・・・・・ウザい女。
べつに顔見て、ホッとなんかしてねーよ。
ガキとオマエになんかあったら、そんなのは二度とゴメンだったってだけで、心配する義理がどこにあんの。

・・・バーカ。
なんでオレが、そんなんで嬉しいワケねーだろ。
調子に乗ってんな。
なにが、『藤くんのこともね、ママにはいつもそばにいてくれる強い味方がいるのよ、ってお腹の雅に話しかけてたの』だよ。

だから言ってんだろ。
オマエにはオレがいなきゃダメなんだよ。


『これからずっといてくれる約束、・・・憶えててね。藤くん』




結城こそ忘れんな。忘れたら殺す。殺して、誰にもやらない。

「契約更新しといてやる」


呟くと。ベッドで無防備に寝顔をさらしてるバカ女に、黙ってキスしてやった。



【おわり】







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