火恋 ~ひれん~
初めて。渉さんが惑うのを感じた。
いつでも自分が正しいと信じた事を、言葉にして来たのだろう。
彼が『引き返せ』と言ったのは、わたしを未知の危険から守るため。
極道の世界に『巻き込んだのが間違いだ』という意味なのも知っている。
それが彼の義であり、優しさであり愛だということも。
でも間違ってる。
貴方も、わたしの愛を受け止めるべきだから。
渉さんのすべてを愛すると決めたわたしを、受け止めるべきだから。
殺して、と言った時。わたしは本気だった。
生きる意味が無い。貴方が居ない世界でなんて。
その瞬間、彼が揺らいだ。
卑怯な云い様だったかも知れない。それほど、本気だった。
渉さんは言葉を探すように押し黙っていた。
僅かに逸れた眼差しが彼の、少なくない葛藤を窺わせていた。
何と何を秤(はかり)にかけて迷うのか。
目の前の貴方のことしか考えていないわたしは、浅はかで分からない。
分かりたくないんです、今は。
わたしを貫くために。
聞き分けが無くてごめんなさい。
譲れなくて、ごめんなさい。
「・・・・・・ごめんなさい、渉さん。どうしても無理なんです、わたしはもう。渉さんのため以外には・・・生きるつもりが無いんです」
わたしには。死んで悲しむ家族もいない。だから生きる事に執着がない。死ぬ事に恐れもない。
誰かを愛しても、愛されても。天涯孤独のわたしは不憫なだけで受け容れがたいでしょう。独りで生きて、他人に迷惑をかけず出来る限り早く、ひっそりと天命を終わらせられたらいい。
わたしの願いはそれだけでした。
なのに。
どうしてあんなにも渉さんに惹かれたのか。今だって、貴方に貰うばかりで。
この命の使い途(みち)なんて、たった一つしかないんです。
わたしは最後にそう言い切り、微笑んだ。
いつでも自分が正しいと信じた事を、言葉にして来たのだろう。
彼が『引き返せ』と言ったのは、わたしを未知の危険から守るため。
極道の世界に『巻き込んだのが間違いだ』という意味なのも知っている。
それが彼の義であり、優しさであり愛だということも。
でも間違ってる。
貴方も、わたしの愛を受け止めるべきだから。
渉さんのすべてを愛すると決めたわたしを、受け止めるべきだから。
殺して、と言った時。わたしは本気だった。
生きる意味が無い。貴方が居ない世界でなんて。
その瞬間、彼が揺らいだ。
卑怯な云い様だったかも知れない。それほど、本気だった。
渉さんは言葉を探すように押し黙っていた。
僅かに逸れた眼差しが彼の、少なくない葛藤を窺わせていた。
何と何を秤(はかり)にかけて迷うのか。
目の前の貴方のことしか考えていないわたしは、浅はかで分からない。
分かりたくないんです、今は。
わたしを貫くために。
聞き分けが無くてごめんなさい。
譲れなくて、ごめんなさい。
「・・・・・・ごめんなさい、渉さん。どうしても無理なんです、わたしはもう。渉さんのため以外には・・・生きるつもりが無いんです」
わたしには。死んで悲しむ家族もいない。だから生きる事に執着がない。死ぬ事に恐れもない。
誰かを愛しても、愛されても。天涯孤独のわたしは不憫なだけで受け容れがたいでしょう。独りで生きて、他人に迷惑をかけず出来る限り早く、ひっそりと天命を終わらせられたらいい。
わたしの願いはそれだけでした。
なのに。
どうしてあんなにも渉さんに惹かれたのか。今だって、貴方に貰うばかりで。
この命の使い途(みち)なんて、たった一つしかないんです。
わたしは最後にそう言い切り、微笑んだ。