青藍のかけら
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「千鶴ッ!今彼氏いたっけ!?」
「……おはよう、奈保子(なほこ)」
翌日の講義で会うなりあいさつすっとばしての第一声に早速逃げ出したくなった。
奈保子がこんなテンションで話している時点で彼女の目的はもうわかっている。
こんな時に限って、というかこの講義は由美がいない。
「おはよ、いる!?いない!?ああもうどっちでもいいから今日合コン参加決定ね!!」
―――うん、そうだと思った……
「嫌。」
「7時に待ち合わせだから、遅れないようにね」
「………」
いや、人の話聞こうよ。
「だから、嫌だってば」
「今男いるの?」
「いないけど」
「あ、別れたって噂ほんとだったんだ。じゃあ7時ね」
「…じゃあってなに。い・や」
「だってもう千鶴行くって向こうに言ってあるもん」
ね?と口元に指をあててかわらいく首を傾げる様に堕ちない男はいないだろう…が。
あいにく残念なことに私は女だ。
「……や、今なんか聞こえたような…」
「だあって、そもそも千鶴が来るならってことで合コンしてくれることになったんだもん。k大だよ?それもすっごいイケメン揃い!!」
「……」
――あんた昨日も合コンだったんじゃなかったっけ…
瞳を輝かせて語る奈保子にもはやため息しか出ない。