リアルな恋は落ち着かない
「そうなんだ・・・。えっと、水族館とか?」

「ああ、まあ、水族館も行きましたけど。どっちかっていうと島の方です。釣りもできるし。ただ単に江ノ島散策とか」

「へえ・・・」

「近くに住んでる奴がいたので、部活・・・っていうか、サークルのみんなでそいつんちに泊まったりして。よく遊びに行きました」

「そっか・・・。楽しそうだね」

「そうですね。ほんとに、あの頃は遊んでばっかりだったかな」


(五十嵐くんの大学時代か・・・)


3年前だから、きっとそんなに変わらないかな。

今の話を聞いただけでも、友達も多く、楽しい大学生活だったのだろうと想像した。


(女の子にもすごくモテたんだろうな。サークル内でも大人気!みたいな・・・)


そんなことを考えて、私はポツリと呟いた。

「サークル・・・弓道だっけ?」

「はい。中高ってやってたから、大学は違うのに入ろうってずっと思ってたんですけどね。気づいたら、結局また弓道部に入ってて」

思いを語る五十嵐くん。

私には、そういう「普通」が眩しく映る。

「そっか・・・。でも、いいね。ずっと続けて・・・すごいと思う」

「まあ・・・他の運動部いったところで大して早くも走れないから。それしかできなかったってのもありますけど」

「そんなこと。弓道なんてすごくかっこいいと思う。やってみたいって、ちょっと憧れたこともあるよ」
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