リアルな恋は落ち着かない
横浜の街を抜けると、車は、空の広い湘南の海へと徐々に距離を近づける。

海沿いに出ると、道は開放感があり、窓の外を見ているだけで胸が弾むようだった。


(お昼のお店も、美味しかったな)


「魚が美味い」と、五十嵐くんが連れて行ってくれた店。

おすすめの料理を、彼はごちそうしてくれた。

昼は定食、夜は飲み屋というその店は、漁船を有しているそうで、常に朝獲れの魚をお客に出してくれるそう。

確かに魚はどれもこれも新鮮で、お刺身は本当に美味しかった。


(だけど、食事は緊張したな・・・)


向かい合って食事をするのは、今日で二回目になる。

けれど二人きりは初めてで、飲み込む音が聞こえそうなほど、私はとても緊張した。

しかも、食事前に言われた言葉が、ずっと頭に残っていたから、そのドキドキ感は半端なかった。


(『おもしろい』は、『かわいい』っていう意味・・・)


やっぱり、褒められたのか、からかわれたのか、私はよくわからない。

やけに、優しかったから。

だけど、軽くさらっと言うから。

ただ、私をドキドキさせただけで、彼の言葉の意味は、やっぱりどちらかわからなかった。





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