リアルな恋は落ち着かない
江ノ島に着くと、五十嵐くんは島のすぐ入り口にある、駐車場に車を停めた。

助手席から外へ出ると、間近に感じる潮風の香りが心地よかった。

「とりあえず島の方に行きますか。花もキレイだし、ネコもいるし」

「うん」

声をかけられ、五十嵐くんの後を追う。

すらりと伸びた背の高い後ろ姿は、やっぱり見惚れるようだった。

真隣に並ぶのをためらって、つい半歩後ろを歩いてしまう。

けれどそのたび、歩調を合わせようと彼は立ち止まってくれるので、私は何度も心臓が止まるようだった。

「すいません、早いですか。歩くの」

「・・・ううん。違くて」

五十嵐くんは、優しいって思った。

だけど、「緊張するから」なんて理由は、口になんて出せなかった。








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