リアルな恋は落ち着かない
緊張感いっぱいだった、展望台までのエレベーター。

その中から降りた途端に、私は一気に開放感に包まれた。


(わ・・・いい眺め・・・)


一面ガラス張りの部屋。

360度海を臨める空間は、地上からの位置も高く、まるで海の真上にいるようだった。

走り回る子どもたちが、明るい声を上げている。

はしゃぐ様子がかわいくて、「こらー!」というお母さんたちの怒った声や表情さえも、とても微笑ましく目に映った。

窓に近寄り景色を見ると、遠くの海で浮かぶ船や、どこかの陸の地形が見えた。

「すごい、キレイだね。遠くまで見える」

「そうですね。今日は天気もいいから」

隣合って、窓の外をぼんやり眺める。

すごくドキドキと落ち着かないのに、非日常の空間が、彼と普通に話をさせてくれているようだった。

「あっちも見てみましょうか」

「うん」

立ち止まっては場所を変え、ゆっくり展望台の中を回った。

来るときに通ってきた道も見え、私は彼に確認をした。

「あそこ。さっき通った道だよね」

「・・・ああ、そうですね。上からだけど。なんか見覚えがある」

道のすぐ上の景色は、青く眩しい海だった。

その光景をしばらく眺めたままでいると、視界の中に、一羽の鳥が飛び込んだ。

「あ、トンビだ」

空の上から、地上に向けて翼を広げて舞っている。

けれど降り立つことはなく、視界の中でぐるぐると、円を描くように大空をゆっくり優雅に飛んでいた。
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