リアルな恋は落ち着かない
けれど美瑠久ちゃんはすぐに怒りを表して、「ちょっと!!」と席を立ちあがる。

「それは自分じゃない!!さっき、すごくひどいこと言ったのに!!」

「きゃっ!こわーい」

そう言って、まりんちゃんは五十嵐くんの腕にきゅっと抱き付く。

「!」

華奢な女の子が、怒った女性に怯えて男性にしがみつく様。

ここだけ見たら、美瑠久ちゃんが加害者で、まりんちゃんは被害者のように見えてしまうような気がした。

「ちょっ・・・、鈴島さん」

五十嵐くんは戸惑って、左腕に巻き付いた彼女の身体に目を向けた。

まりんちゃんを落ち着かせ、その細い腕を離そうとはしているものの、「怖い」と言ってしがみつく彼女を、無理に引き離すことはできないようだ。


(・・・やだ、こんな場面・・・)


五十嵐くんは優しいし、困っているんだろうけど。

私はとてもショックだった。

そんなことは、できないってわかっていても、振り払うくらいしてほしかった。

今までずっと、クールな人って思っていたから。

優しい人って、私はやっと気づいたけれど、それをこんな形で自分以外に向けられるのは、とても嫌なことだった。

「・・・なんか、ずるい!」

ショックを受ける私の前で、美瑠久ちゃんは怒りが爆発。

けれど、まりんちゃんはそんな彼女にますます怖がる態度を見せて、美瑠久ちゃんを悪者にしていくようだった。
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