リアルな恋は落ち着かない
「おつかれさまでした」

淡々と切り返す五十嵐くん。まりんちゃんは名残惜しそうな声を出す。

「でも、寂しいな・・・。明日までで終わりって」

呟きながら、まりんちゃんは五十嵐くんをチラリと見上げ、彼の両手をきゅっと握った。

五十嵐くんは切れ長の目を見開いて、驚いたような顔をした。


(な、なんでそこで手を握る・・・!?)


今が、ラブリボンの握手会ならわかるけど。

ここは会社で、しかも、そんな上目遣いはいらないはずだ。

彼は、何気なくまりんちゃんの手を離したけれど、嫌がっているようにも見えなかった。


(・・・やっぱり、見ていられないよ・・・)


嫉妬心で、胸の奥がきゅっとつぶれるようだった。

本当に、まりんちゃんとなにかあるのではないかとか、余計な疑いまでもってしまう。

その場にいるのが耐えられなくて、まりんちゃんたちの挨拶が終わると、私は廊下に飛び出した。

「・・・はあ・・・」


(五十嵐くん、どう思ったんだろう・・・)


白い華奢な手に握られた、五十嵐くんの大きな手。

すぐに離しはしたけれど、あんなかわいい子に手を握られたら、やっぱり嬉しく思うのだろうか。


(お昼の時だって、腕に抱き付かれて、嬉しかったりしたのかな・・・)
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