リアルな恋は落ち着かない
「鈴島さんと・・・なにかあるんじゃないかとか、噂されてる話も聞いて。橘内さんに、誤解されたら困るから」

まさに、心配していたことだった。

私は瞳を揺らしながら、彼の次の言葉を待った。

「その・・・誤解されるような場面も、何度かあったと思います。さっきももしかしたらって。だけど・・・本当になにもなくて」

「・・・うん・・・」

頷いたものの、彼の言葉を信じていいのか、私の心は揺れていた。

一度疑心暗鬼になってしまうと、不安はなかなかぬぐえない。

そんな私に、五十嵐くんはさらに言葉をつなぎだす。

「こんなこと・・・橘内さんに言うこと自体、自惚れてる気もしますけど。だけど、オレは・・・」

五十嵐くんが、そう、なにか言いかけた時だった。

「あ、五十嵐さん!」

階段上から、明るい声が響いてきた。

その方向を振り向くと、もう帰ったとばかり思っていた、まりんちゃんが立っていた。


(う、うわ・・・!)


私は咄嗟に、彼から一歩距離をとる。

心臓の音が、バクンバクンと嫌な音を立て始めた。

「すみません、聞きたいことがあって」

「・・・なんですか」

「中尾さんに呼んでこいって言われたんです。私がマネージャーみたいなんですけど、頼まれたら断れなくって」

困ったように、小さく笑うまりんちゃん。

私は思わず疑いの気持ちを持ってしまった。

どこまでが、本当なのかはわからないけど、少なくとも、中尾さんがまりんちゃんに無理強いしたとは思えなかった。
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