リアルな恋は落ち着かない
「大事なお話があるんです。ここだと人目につきますし、ちょっと、あっちにいいですか」

「・・・な、なんですか・・・」

「あっちで話しますから。聞かないと後悔すると思いますよ?」

意味深な言葉を受けて、私は仕方なく彼女の後をついていく。

大通りから一本外れた細い道。

その道沿いにある小さな駐車場の片隅で、まりんちゃんは足を止めた。

すでに満車になっているし、車が壁の代わりになって、人目につかない駐車場。

彼女は周囲の様子を確認してから、表情を変え、私に鋭い目線を向けてきた。

「約束、守ってください」

「えっ・・・」

「言いましたよね、私。五十嵐さんのこと諦めてって」

眼鏡をかけても、彼女の目力は変わらなかった。

思わず一歩後ろに下がり、怯む態度をしてしまう。

「ほんとに邪魔なの。早く引っ込んでてよ」

「!?」

相変わらずの彼女の態度に、私は恐怖を感じながらも、ぼっと怒りに火が付いた。

土日に何かあったのだろうか。

わからないけど、反論せずにはいられない。

「約束なんて・・・してないと思う」

「はあ?しましたよね?言ったでしょ、私」

「まりんちゃんが言っただけで・・・私は、約束なんてしてないよ」

「・・・うわ。最悪。言い逃れ」


(は!?)
< 189 / 314 >

この作品をシェア

pagetop