リアルな恋は落ち着かない
(みんなに迷惑かけちゃったな・・・)


「気分悪いとか、どこか痛いとこはない?」

「・・・はい。なんとなく、だるい感じはしますけど・・・。大丈夫です」

「そっか。じゃあ、しばらく休んだら、もう家に帰ってね。部長からも、2〜3日休むように言付かってるから。有給かなり残ってるでしょ」

「はい・・・」

「仕事は大丈夫だから。ゆっくり家で休むといいよ」

「・・・はい・・・。ありがとうございます」

一通りの会話が終わると、阿部課長は優しく笑って、パソコン画面を閉じに行く。

そしてグレーの椅子をベッドサイドに持ってくると、そこに座って私のことを見下ろした。

「この前も体調悪そうだったけど。平気なの?」

「はい、特に悪いところはないんですけど・・・」

そういえば先週、「しんどそうな顔をしている」と声をかけてもらったっけ。

二度もこうして気遣ってもらうのは、なんだか申し訳なく思う。

「そっか・・・」

呟きながら、課長は思案顔になる。

そして首を傾げて窺うように、私のことを見下ろした。

「・・・じゃあ、悩み事でもあるのかな」

「え?」

「俺がこんなこと言うのもなんだけど。五十嵐に、泣かされてるの?」

「!?」


(な、なんで課長がそんなこと・・・)


言われた名前に、私は思いっきり動揺し、視線を宙に彷徨わす。

阿部課長はふっと笑った。

「いや。なんかね、こういうのはわりと勘が働くタイプでさ。

前に・・・橘内さんと飲みに行った帰り道、五十嵐にキミを任せたでしょう。

あの時点で、キミはあいつを好きになるって、そんな予感がしてたから」
< 198 / 314 >

この作品をシェア

pagetop