リアルな恋は落ち着かない
「医務の先生も何考えてんだ・・・。あんなオッサンと二人にするとか。なにかあったらどうすんだ・・・」

彼は、独り言のように呟き続ける。

そして再び私を見つめた。

「寝てる間は?・・・って、覚えてないですよね。

くっそ・・・あのオッサン・・・手え出してたら許さねぇぞ・・・」

最後はまた、独り言のようだった。

舌打ち交じりの、凄むような険しい目。

ここまで感情を露わにした五十嵐くんは初めてで、私は少し驚いた。


(こんなふうにも怒るんだ・・・)


初めて見る彼にちょっとドキドキしていると、五十嵐くんははっとしたような表情で、視線を落として呟いた。

「・・・すいません。うるさいですね」

「あ・・・う、ううん」

「ちょっとイラついて・・・っていうか、収まらなくて」

ふっと呼吸を整えると、五十嵐くんは手を伸ばし、私の頬に優しく触れた。

撫でられた、少し硬い指の感触。

一瞬で過ぎていってしまったけれど、私の胸はドキンと大きく高鳴った。

「けど・・・何か、悩んでましたか」

「えっ・・・?」

「いや・・・課長に言われたことも気になって。橘内さんのこと、大事にしろとか言われたし」

「あ・・・」


(あのときの・・・)


「オレのことで、相談とかしてたんですか」

「ううん。そうじゃないけど・・・」

「・・・そうですか・・・。まあ、課長はいろいろ気がつきそうなタイプだからな・・・」

「うん・・・」

頷くと、五十嵐くんは一度小さく息を吐く。

そして慎重な様子で話しを続ける。
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