リアルな恋は落ち着かない
「彼氏じゃないのはわかってるけど。オレは橘内さんのことは大切だし、大事にしたいと思ってます。

それを伝えたつもりでいたんですけど・・・傷つけたことがあったなら、言ってほしいと思うから」

「・・・」


(どうしよう・・・)


まりんちゃんのことを全て話して、気持ちを確かめたいとも思う。

けれど彼女の言う通り、五十嵐くんが私に気を使っているのだとしたら、それを聞くのも怖かった。

反対に、あれは間違いだって、彼女の嘘だって言って私に気持ちを向けてくれたら。

それはもちろん嬉しいけれど、今度は週刊誌にあの写真が載ってしまうのだ。


(・・・どっちであっても、怖いもの・・・)


やっぱり、言えない。

悩んだ末に、私は小さく首を振る。

「ううん・・・なにもないよ・・・」

「・・・」

「本当に・・・」

窺うように見つめられ、私は目を伏せ口ごもる。

五十嵐くんは、困ったような顔をして、後ろ髪をかいて口をつぐんだ。

しばしの沈黙。

その後、彼ははっとしたように、「もしかして」と口を開いた。

「キスしたこと、怒ってますか」

「えっ・・・」

「その・・・返事もまだなのに、キスするとか。いやだったかなと思って」

一瞬にして、金曜の夜の甘い記憶が蘇る。

あれを嫌がっていたと思われるのは、それこそ私は嫌だった。

「ううん・・・。あれは、嬉しかったよ」

これだけは言っておきたくて、私は彼に思いを伝えた。

すると五十嵐くんは切れ長の目を見開いて、聞き返すような顔をした。
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