リアルな恋は落ち着かない
妙な使命感に駆られた私は、無心でリボンをつけてみた。

これなら、スターラブリーのコスプレだと、コアなファンの方々も、きっとわかってくれるはず。


(よ、よし!行くぞ!)


気合いを入れて、女子トイレの外に出た・・・その時だった。


ドンッ!


「・・・きゃっ」

前方不注意だったのか、前から来た人に思いっきりぶつかってしまった。

慌てて「すみません!」と言って顔を上げると、私はそのまま固まった。

「!?」


(・・・!!五十嵐くん・・・!?)


ぶつかった相手は、まさかと思いたいけれど、同じ会社の後輩である五十嵐くんに間違いなかった。


(な、なんでここに五十嵐くんが・・・!)


他人の空似・・・ということは、多分ないだろうと思う。

ここまで整った顔立ちの男性は、そうそう世の中に何人もいるもんじゃない。

数日前、会社でぶつかった時と同じアングル。

いつもと違って私服だけれど、黒いシャツにデニムを合わせた服装は、新鮮だけどスーツの雰囲気とそこまで違っていなかった。

私を見下ろす五十嵐くんも、とても驚いているようだけど、その切れ長の目はいつも通りに涼しげで、やっぱりクールな印象だ。


(ど、どうしよう・・・!)


恐ろしいことに、今の私はミニ丈のセーラー服に、耳上のツインテールだ。

これはどう見てもコスプレで、どう考えても、いつも装っている清楚なお嬢様OLの私がすることでは絶対にないと思った。

「あ、え、えっと・・・」

顔を思いきりうつむかせ、大量の冷や汗を背中にかいて口ごもる。

五十嵐くんはそんな私を、窺うように覗き込む。

「・・・・・・もしかして、橘内さん、ですか?」

「!」


(ば、ばれた!)


私は完全にテンパった。

そして次の瞬間に、力いっぱい叫んでしまった。

「ち、違います!!」

そのまま、ダッシュでその場を去って行く。

そしてももさんの姿を見つけると、半泣き状態で訴えた。
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