リアルな恋は落ち着かない
まりんちゃんとの仕事のために、デートが中止になったこと。

それを思い出した私は、気持ちがふっと暗くなる。


(でも・・・ももさんはよかったな)


きっと二人で、あれやこれやとディープな会話を繰り広げながら、博物館を見て回ったことだろう。

その様子を想像すると、やっぱり楽しくなってきた。


(ちょっと、電話してみようかな)


久しぶりに、ももさんの声も聞きたかった。

『電話するよー』とメッセージを入れて、私はすぐに電話をかけた。

「ももさん!」

「おおお、ゆりりん。ご無沙汰だなー」

耳に届いたももさんの声。

それほど会ってなかったわけではないのに、ここのところいろいろあったせいなのか、彼女の声が懐かしく、そしてとてもほっとした。

「元気にしてるか」

「うん」

倒れたばかりなのだけど。ももさんの声が嬉しすぎて、私は思わず頷いた。

「鉄道博物館行ったんだってね。どうだった?」

「いやあ、すごかったぞ」

その後、ももさんは博物館での出来事を、あれこれいろいろ話してくれた。

博物館自体ももちろん面白かったのだけど、宇佐美くんの解説が、ディープすぎてとにかく笑えたのだそう。

「うさは完全に電車オタクだ。詳しすぎて笑ったぞ」

「そっか。じゃあ、今度はももさんがアニメイベントに連れてかないと」

気が付けば、ももさんは宇佐美くんのことを「うさ」と愛称で呼んでいた。

急速に仲良くなっているスピードに、羨ましさは隠せない。

「いいなあ・・・仲良しだね」

思わずそう呟くと、ももさんは「ん?」と私に聞き返す。
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