リアルな恋は落ち着かない
「・・・そうですね・・・」

余計なことは言わないよう軽く受け流していると、課長は私に目を向けて、「で?」と声をかけてきた。

「橘内さんはその後どうなの?体調はよさそうだけど」

「え?」


(・・・あっ!)


「は、はい、すみません・・・!その節は、どうもありがとうございました」


(そうだ。月曜日、すごくお世話になったのに・・・)


課長のことは、すっかり忘れてしまっていた。

私は慌てて頭を下げた。

「ああ。いや、それはもういいんだけどさ。そうじゃなくって。五十嵐とは、その後どうなのかなって思って」


(そ、そっち・・・)


「なんか進展あった?あの後、医務室で二人きりになってたし。なんにもないってことないんじゃないの?」

「・・・」


(ツッコみますね・・・)


「な、なにも・・・」

「ふうん・・・?橘内さんはほんとに口が堅いよね。まあ、そこがいいとこなんだけど・・・。今日、鈴島まりんちゃんも来るでしょう。大丈夫なの?彼女ともなんかあると思うけど」

「・・・」


(課長って、ほんとに鋭い・・・)


黙秘権を貫く私。

阿部課長は「ははは」と笑った。

「大丈夫だよ。オレは橘内さんの味方だから。なにかあったらオレに頼ればいいからね。今日は、五十嵐も来るか来ないかわかんないからさ」

「・・・えっ・・・?」


(来るかわからないって・・・五十嵐くんが・・・?)
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