リアルな恋は落ち着かない
「あれ?聞いてない?」

「・・・はい」

「ふーん・・・。そっか。そういうことを伝える間柄じゃないってことか・・・。

昨日の夜さ、急に五十嵐の出張が決まったんだよ。ほら、前にあいつが担当してた名古屋の会社があるでしょう。

あそこでトラブルがあったらしくてさ。今日の朝一で来てほしいって要請があったらしくてね。

今朝は直行してるはずだよ。どのくらいかかるかわからないけど・・・名古屋だし、飲み会には間に合うかどうかわからないよね」

「・・・そうなんですか・・・」


(そっか・・・。五十嵐くん、出張なんだ・・・)


当然、彼は来ると思ってた。

それなのに、来れないかもしれないと、そして課長に言われた通り、連絡がなかったことに対しても、寂しい気持ちは隠せない。

「五十嵐がほぼ主役なのにね。あいつ抜きでやるのもなんかかわいそうだけど・・・。中尾さんと鈴島まりんちゃんも呼んじゃってるし、今更日程変更もきかないでしょう」

「そうですね・・・」

頷くしかできなくて、沈んだ顔で目を伏せる。

すると課長は、困ったような顔で笑った。

「・・・元気出しなよ。どうなってるのかオレにはわからないけどさ。五十嵐がいないくらいでそんなに落ち込まないで。

ほら・・・頼りたい騎士がいないなら、二番目に頼れる騎士でいいんじゃないの?」

そう言うと、阿部課長は甘く笑いかけてきた。

私は一瞬ドキリとしたけど、すぐに目をそらしてしまった。

「・・・だ、大丈夫です」

そして会社までの残りの道を、急ぎ足で歩いて行った。








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