リアルな恋は落ち着かない
「いや~、五十嵐は来れなくて残念だなあ。こんなにおいしいのに」

「そうですねえ。仕事が終わったっていう連絡はありましたけど・・・急いで来ても、鍋の残りものになっちゃうなあ」

「まあ、また今度あいつ誘って来ましょうよ」

「いいですね~。冬はこれからですもんね~」

私たちのテーブルも、和やかに話をしながら温かい鍋をみんなでつつく。

五十嵐くんがいないことはやっぱり寂しく思うけど、楽しい雰囲気に気持ちはほっと安らいだ。

「橘内さん、食べてる?」

「あ、はい」

課長に問われ、私はすぐに頷いた。

そして「たくさん食べて元気出して」と、私の取り皿におたまで鍋の具を足してくれた。

「あ、ありがとうございます・・・」

「うん」

そして井崎さんと美瑠久ちゃん、部長と係長の空になったお皿にも、順によそってあげていた。


(やっぱり、気が利くというか・・・課長は優しいよね)


そう思ってしまうけど。

こんなことを言ったら、また五十嵐くんに「軟派な優男が好き」だとか言われてしまうかもしれない。

「私、ちょっとおトイレに行ってきまーす」

取り皿の中が何度か空になったところで、美瑠久ちゃんが笑顔でそう言い席を立つ。

けれど数分後、戻ってきた彼女はすごい形相になっていた。
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