リアルな恋は落ち着かない
その後の私は、すっかりふさぎ込んでしまった。

約束通り、コスプレで入場し、キーホルダーをゲットすると、そのまますぐに私服に着替えた。


(最悪だ・・・)


こんな事態が待っていたとは。

「私のことは気にしないで」とももさんに言葉をかけると、「わかった、オッケーだ!」と、彼女は一人ノリノリでイベント会場を駆け回った。

こういうとき、同調しないももさんのマイペースは、なんだかとても気がラクだ。


(それにしても、いったいこれからどうしよう・・・)


会場の片隅で、私は一人考える。


(あんまり、言いふらすタイプにも見えないけど・・・)


そういえば、五十嵐くんのことはあまりよく知らない気がする。


(ルックスがよくて、仕事ができて、なんでもそつなくこなす感じで・・・)


単なる趣味かもしれないけれど、仕事に関係あるロボット展示会を見に来るぐらい、基本真面目だと思う。

だけど印象はそのぐらい。その他思うことはない。


(仕事以外の話なんて、一度もした記憶はないし・・・)


男性は基本苦手だけれど、五十嵐くんはかっこいい分、輪をかけてとても苦手なタイプだ。

感じが悪いとも違うけど、愛想がいいとはいえないクールさ。

先輩ながらいつも淡々と対応されるので、なんだかとても緊張するのだ。


(だけどあれだけクールなら、こんなこと、わざわざ誰かに言わないだろうか)


しかし、偶然会った先輩がセーラー服でツインテールでいたなんて、インパクトが強すぎるだろう。

誰かに言わずにはいられないかも。

そのままそれが広まって・・・阿部課長の耳にまで、伝わってしまったらどうしよう。


(もう・・・だめだ・・・)


私は自分の妄想にさらに追い詰められてしまって、イベントを、そしてその週末を、ふさぎこんだまま過ごしてしまった。






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