リアルな恋は落ち着かない
(また・・・。どうしていつもこんなことに・・・)


五十嵐くんの件だけじゃない。まりんちゃんは女子として、私と美瑠久ちゃんに敵対心があるのだろう。

それにしたって、こんなやり方ひどすぎる。

腹立たしくて、怒りたい気持ちで頭の中はいっぱいだった。


(でも・・・ここで何か言ったら、きっとまりんちゃんは泣き出して、もっと被害者になろうとするんだ・・・)


そして、自分に同情がいくように、私と美瑠久ちゃんにもっとひどいことを言うかもしれない。

そうしたら、事態はさらに悪くなる。

せっかく和やかだった雰囲気を、これ以上壊すこともしたくなかった。


(だからって、このまま黙ってるのも悔しすぎるけど・・・)


唇を噛み、どうしようかと悩んでいると、阿部課長が私と美瑠久ちゃんをチラリと見てから、まりんちゃんに声をかけた。

「あー・・・、とりあえずさ、今はせっかくの楽しい席だから。ひとまず終わりにしたらどうかな。

二人とも『言ってない』って言ってるわけだし。お互いに聞き間違いかもしれないよ。

宗田さんも橘内さんも、そんなこと言ったりしたりする子じゃないし。まりんちゃんだってそうなんでしょう?」

「・・・はい。もちろんです。でも、でも、橘内さんたちは・・・っ」

言いながら、まりんちゃんがついに顔を覆って泣き出した。

阿部課長はぎょっとして、顎に手をやり最高潮の困り顔になる。

「・・・まいったな・・・。丸く収めるつもりだったんだけど・・・」

部屋の中には、まりんちゃんの「ぐすんぐすん」という泣き声だけが響いてる。

その光景に、抑えられない怒りの気持ちが、どんどんどんどん湧いてくる。
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