リアルな恋は落ち着かない
部屋の外から、息を切らした男性の声。

摺り足のような足音が、徐々に近づいてくる。

そして、その足音がそばで立ち止まった気配がすると、パチンと部屋の電気がついた。


(・・・!)


明るさを取り戻した視界の先の光景に、私は思わず息をのむ。

そこには、来ないと思っていた、五十嵐くんが立っていたから。

「遅いぞ、五十嵐」

ミニスカートポリスのももさんが、真横に立った彼に言う。

五十嵐くんは「すみません」と謝って、乱れた息を整えた。


(なんで・・・?)


ここに彼が現れたのはもちろん、私は、その出で立ちに驚いた。

白い上衣に黒の袴を着た姿。

これはきっと、弓道部時代のユニフォームだって、私は直感するけれど。


(これは・・・光之助・・・?)


額に巻いた白い鉢巻き。

次元の異なる彼のことを、思い出さずにいられない。


(・・・ど、どうしよう・・・かっこいい・・・)


二次元世界と現実が、頭の中で交差する。

これはリアル光之助に間違いないと、けれど彼は五十嵐くんだと、一人脳内パニック状態。

そんな私の隣では、美瑠久ちゃんが「きゃー!」と黄色い声を上げ、興奮気味に話し出す。

「やだやだ!五十嵐さんですか〜!?すごーい、めちゃくちゃかっこいーい!!」

その声に、ぱっとこちらを見た彼と、私の視線がバチリと合った。

「・・・」

五十嵐くんは、照れたような顔をして、すぐに目をそらしてしまった。

そして足元で彼を見ている、まりんちゃんに目を向けた。
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