リアルな恋は落ち着かない
「五十嵐さん・・・」

まりんちゃんも、彼に見とれているようだった。

スーツ姿もかっこいいけど、袴姿はその倍以上にかっこいい。

数秒間、彼を見上げてぽーっとしていた彼女だけれど、突然、はっとしたように、口元に手を当て悲しそうに目を伏せた。

「五十嵐さん・・・あの、私、橘内さんたちに貶められたみたいです」

「・・・は?」

「そこの、明らかに怪しい人にひどい映像流されて・・・」

まりんちゃんは、また「うっ」と嗚咽を漏らし始めた。

すると彼は大きくため息をつき、まりんちゃんを見下ろした。

「・・・この人はオレの友達。個性的なだけで怪しい人じゃないですよ。今の流れで、友達だってわかりませんか」

「え・・・」

大きな目を、さらに大きく見開くまりんちゃん。

自分を守ることでいっぱいいっぱいだったのか、周りの状況があまり見えてなかったようだ。

「この・・・花山さんがこういう格好してるのは、かけですけど・・・笑いも入れた演出っぽくなるように、彼女なりの配慮です。

映像は本当に最終手段で、話して丸く収まれば使わない予定だったんですよ。

だけど流されたってことは、そうでもしないと鈴島さんが非を認めなかった・・・からじゃないの?」

五十嵐くんの、冷めたような鋭い目。

イケメンの冷たい眼差しは、凍りつくような怖さがあった。

「ち、違・・・っ」

「違わないんじゃないですか。それにもう、鈴島さんの話を全部信じる人なんて、誰もいないと思うけど」
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