リアルな恋は落ち着かない
小声で言うと、彼は私の右手をぎゅっとつかんだ。

そしてそのまま立位して、私も一緒に立ち上がらせた。

「すみません、部長。今度きちんとお詫びします」

幹事の部長に謝ると、彼は私を引っ張って、部屋の外へと連れ出していく。

「えっ、あ、あのっ・・・!」

戸惑って、彼の背中に声をかけるも、五十嵐くんは振り返らない。

見慣れない彼の姿。

目に映る光景が、一瞬、色彩を変えてアニメーションの世界に見えた。


(これは・・・やっぱり、夢、だとか・・・?)


けれど感じる、彼につかまれた手の温もりは本物で。

夢なのか、現実なのか。

いまだに私はわからなくて、頭はずっと混乱していた。

「こらー、五十嵐〜!橘内さんつきは高いぞ~!」

はっと意識を取り戻すと、後ろから、からかうような向坂部長の声がした。

「ドラマみたーい!!」と、興奮状態の美瑠久ちゃんの声も聞こえる。

騒がしく、みんなが冷やかすような声。

それを耳に聞きながら、初めて見る袴姿の彼の後ろを、私は必死について行った。









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