リアルな恋は落ち着かない
(よかった・・・。阿部課長も知らないみたい)


私は何気なく、五十嵐くんの姿を探す。

入り口から三番目に並ぶ彼の席は、まだ空席のままだった。


(・・・まだ来てない・・・。会ったらなんて言おうかな・・・)


と、その時。

「おはようございます」

後ろから、落ち着いた低い声がした。

私は反射的にぐるっと後ろを振り向くと、跳ねるように飛び上がった。

「!」


(五十嵐くん・・・!)


「あっ、お、おはよう・・・!」

「おはようございます」

挨拶をすると、五十嵐くんはもう一度私に言葉を返してくれた。

いつもと全く変わらない。

含みを持たせた様子もなく、クールな感じのいつもの彼だ。

「おお!おはよう。五十嵐は今日もかっこいいな!橘内さんもキレイだし。ロボット開発部は今日も変わらずイケてるな!」

「わはは」、と笑いながら、向坂部長は自分の席に向かって行った。

残った私たちも、愛想笑いをし終えた後に、それぞれ自分の席に着いた。


(五十嵐くんはいつもこんな感じだもの。私のコスプレ姿も、見なかったことにしてくれるかも・・・)


年下だけど、たった一つ違いだし、私よりも多分オトナだ。

このまま素知らぬふりをして、なんでもない風を装っていれば、五十嵐くんもそのうち忘れてくれるかもしれない。
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