リアルな恋は落ち着かない
「前・・・医務室で、鈴島さんとキスしたかって橘内さんに聞かれましたよね。あの時、すぐに答えられなかったけど。結論から言うと、その、してて」

「えっ・・・」


(本当だったの・・・?)


合成写真じゃないかって、どこか勝手に思ってた。

けれどあれは、本当の出来事だったんだ・・・。

ショックで顔を曇らせると、彼は慌てて言葉を足した。

「もちろん、好きでしたわけじゃないですよ。完全に、不意打ちで」



ーーーーーそれは先週末のこと。

二日間にわたって行われた、社長のインタビューを終えた日曜の夜のことだった。

五十嵐くんとまりんちゃん、中尾さんの三人で、会社を出た後に起こった事件らしかった。

「最後だから、一緒に写真を撮ってほしいと鈴島さんに頼まれて。あんまり気が進まないから、一旦断ったんですよ。

でも、『どうしても』ってかなり何度も頼まれて・・・見かねた中尾さんから、『一枚だけでいいので』って、撮ってあげてほしいと一緒に頼まれたんですね。

さすがにちょっと断れなくて・・・撮ることになったんです」

そして中尾さんがカメラマンになり、まりんちゃんのスマホで二人の写真を撮ることに。

けれどシャッターを切る瞬間に、まりんちゃんは突然彼に抱きついて、そしてキスをしたそうだ。


(・・・そ、そうだったんだ・・・)


まりんちゃんなら、やりかねない気もするけれど。

本当に、彼女の行動は驚くことばかりだった。

「あまりにいきなりだったから。驚いて、どうすることもできなくて」

当時を思い出したのか、五十嵐くんは深いため息をつく。
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