リアルな恋は落ち着かない
そして、私の気持ちを窺うように、視線を私にからませた。

「その時の写真を、鈴島さんに見せられたとか」

「・・・うん・・・」

「しかもオレと鈴島さんがつき合ってるって、そんなことを言われたらしいと、花山さんから聞きました」

「うん・・・」

私の頷きに、五十嵐くんはやっぱり、という感じで表情を曇らせた。

「何度も断ってるし、本気でありえないのでかなり腹が立ったんですけど。それ以上に、橘内さんに誤解されてることが、オレ的には結構きつくて」

言いながら、彼は後ろ髪をくしゃりとかいた。

そして呼吸を整えて、再び続きを話し始めた。

「聞かれた時すぐに答えられなかったのは、完全に記憶を消してたから。あんなの事故だろって思って、なかったことにしたかったし」

けれど少しの間をおいて、「あの時か」って思い当った。

しかし医務の先生が現れて、話が途中になってしまった。

「帰ってから、電話しようかと思ったりもしたんですけど。橘内さんは倒れたばっかで、負担になるのもいやだったから・・・。かといってメールだと誤解生みそうな気もしたし。

とにかく、元気になってから直接話すのがいいと思って、『話したい』っていうメールだけ送ることにしたんです」
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