リアルな恋は落ち着かない
(最後・・・?)


その単語に疑問を抱き、私は首を傾けた。

すると彼は久しぶりに、嬉しそうな顔で笑った。

「井崎さんが撮った動画、最後まで見たんですけど。そうしたら、橘内さんがオレのこと好きって言ってた」

「・・・!?」


(や、やだ・・・!)


直接言葉を伝える前に、そんな場面を見られていたとは。

私は、恥ずかしさとよくわからない怒りで、頭の中がいっぱいになる。


(そういえば、あの時まりんちゃんにそんなこと言った気がする・・・)


火照った顔を下に向け、一生懸命記憶を辿る。

すると彼は、優しい声で私に語り掛けてきた。

「すいません、黙ってて」


(うん・・・)


「それも昨日のことなので。言える暇もなかったんです」


(そうかもしれないけど・・・)


経緯とか状況とか、そんなものはどうでもよくて。

ただ、知らないうちに告白していたという現実が、私はとても恥ずかしかった。


(穴があったら入りたい・・・)


無言で気恥ずかしさに耐えていると、五十嵐くんは首を傾げて私の顔をのぞきこむ。

「・・・それで、変わってないですか」

「えっ・・・」

「橘内さんが、好きって言ってくれたこと」

甘く笑いかけられて、私は大きく息をのむ。

もしも私が、これまで彼を好きじゃなかったとしても、この一瞬で、恋に落ちるだろうと思った。
< 267 / 314 >

この作品をシェア

pagetop