リアルな恋は落ち着かない
「・・・うん」

頷くしか、選択肢は残ってなかった。

だって私は本当に、ずっとそう思っていたから。

「よかった」

五十嵐くんが、ほっとしたように優しく笑う。

私はまた、息をのんで胸を鳴らした。

彼の笑顔が、どうしようもなく嬉しくて。愛しい想いが、胸いっぱいに溢れていった。


(・・・やっぱり、好き・・・)


心の中で呟くと、それが伝わったかのように、嬉しそうに彼が笑った。

そして私の背中に腕を回して、自分の方へと引き寄せた。


(・・・!?)


一瞬で、彼の胸に飛び込んで、そのまま抱きしめられてしまった。

目の前には、真っ白な袴の上衣の、少し崩れた襟元が。

覗く素肌に、これ以上ないくらい頬が熱く火照ってしまう。

この現実が、今のこの状況が、信じられなくて心臓が激しく音を立てていた。

「・・・いろいろあったし。嫌われたかと思ってて」

そう言うと、五十嵐くんは私を抱く腕にぎゅっと強い力を込めた。

彼の心音が、早い速度で私の耳に響いてる。

けれど私の心臓は、それを上回るほど速い脈を打っていた。

「でも、よかったなって。嬉しくて、それだけ」

「・・・うん・・・」

頷くことが、私の精一杯だった。

すごく幸せで、ドキドキとして、胸の奥が甘く震え上がってく。

「・・・橘内さん」

呼ばれて少し顔を上げると、想像以上に間近な彼に、私は再び息をのむ。

慌てて顔を下に向けるも、すぐに顎を持ち上げられた。

「!!」

「・・・なんで下向くんですか」

「な、なんでって・・・ち、近いから・・・」
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