リアルな恋は落ち着かない
どうしようって、ただドキドキと焦る気持ちだけ、一気に胸に押し寄せた。


(このままだと・・・)


困惑する間にも、彼の指先はニットの下をくぐってく。

そして背中に腕が回されると、重なっていた下着の金具が、一瞬にして外された。

「・・・っ」

素肌の胸に触れられて、思わず小さな息を漏らした。

けれど咄嗟に、首をすくめて彼の手をきゅっと抑えた。

「・・・ダメですか」

「だ、ダメっていうか」

心臓が、間もなく破裂しそうだった。

触れられた身体は、止まらない程熱く火照っているけれど。

恥ずかしさとか、緊張感とか恐怖とか、そういうものが、甘い感情より大きく上回っていた。

「・・・あの」

「うん」

切なげな目で見つめられると、このままもう・・・って気持ちが揺れ動く。

だけどやっぱり、不安がなにより勝ってしまい、甘い想いはブロックされた。

「・・・いやとか、そういうわけではなくて」

「うん」

「心の準備が、できていなくて」

「・・・うん」

「あの・・・」

口に出すのも、恥ずかしい、と瞬時に思った。

けれどきちんと言わないと、ただ「いや」なだけだって、誤解されるのも嫌だった。

「・・・実は」

「はい」

「今まで、こういうことしたことがなくて。少し・・・怖いというか」

「え・・・」

私の告白に、五十嵐くんは驚いた顔をして、そのままピタリと動きを止めた。

そしてしばし、考えるように私のことをじっと見つめた。
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