リアルな恋は落ち着かない
(・・・この沈黙は・・・)


26歳で、一度も経験がないなんて。

もしかしたら、「めんどくさい」とか「重たい」とか、そうゆう風に思われたのかもしれない。


(私の方が年上なのに・・・)


申し訳なさと恥ずかしさで、「ごめんなさい」と呟いた。

すると彼ははっとして、慎重な様子で言葉をつないだ。

「あ・・・いや、こっちこそ。手え出すの早いよな・・・」

そう言うと、私の背中にあった手を戸惑いがちに引きぬいた。

そしてそのまま、服の乱れを直してくれた。

「いや・・・そうかなとは、多少思ったりもしたんですけど」

「うん・・・」

「もしかして、付き合ったことも、ない?」

「・・・うん」


(もう、穴が何個あっても入り足りない・・・)


きっと、普通の26歳女子ならば、ここでちゃんと流れにのるんだ。

だけど私はできなくて。

これで物足りないって思われて、嫌われたりしないだろうか。

「そっか・・・。いや、まあ、慣れてない感じはしたんですけど・・・」

「すいません」と謝って、彼は悩むような顔をした。


(やっぱり、重いよね・・・)


初めてだって、勇気を出せばこんな顔をさせないだろうに。

雰囲気までも壊したことに、不安な思いでうつむいた。
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