リアルな恋は落ち着かない
(・・・そうなんだ・・・)


まりんちゃんも、ももさんの不思議パワーにはかなわないよう。

念書として有効性があるかどうかは謎だけど、あのまりんちゃんが、これだけでも書いてくれたということに、大きな意味があるかもしれない。

「あ、そうそう。前に言ってたキス写真。

五十嵐を諦めないと、あることないこと週刊誌に訴えるって、ゆりりんは脅されていたそうじゃないか。

でも、実行するつもりは元から全くなかったらしいぞ。彼女はなんせアイドルだろう。あんな写真が世に出たら、自分で自分の首絞めになる」

「そ、そうだったんだ・・・」


(ずいぶん悩まされたけど・・・)


「彼女的には、ああ言えばゆりりんが引き下がるって思ったんだな。実際引き下がりかけてたし」

「うん・・・」

「とにかくな、五十嵐を落としたくて落としたくてたまらなかったらしいのだ。ドストライクの好みなんだと」

「・・・」

五十嵐くんは、難しい顔でわずかに眉を持ち上げた。

どういう反応をしたものか、返答にとても困っているよう。

「イケメンも時に辛いな、五十嵐」

「・・・はあ」

軽く頷いて、五十嵐くんはコーヒーを飲む。

返事をするのが、ちょっとめんどくさそうだった。
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