リアルな恋は落ち着かない
「そうそう。中尾さんも、鈴島まりんの二面性には気がついていたみたいだぞ。ラブリボンのグループ内でも悪い噂はあったらしいし」

「そうなの?」

「うむ。でも中尾さんの前ではいい子だし、噂だけで怒ったりはできなかったらしいのだ。

負けず嫌いだけど、基本的に仕事は一生懸命で、常にトップグループにいる人気者でもあるからな。

ラブリボンの初期メンバーだし、なんだかんだでかわいくて、甘やかしてたって言っていた」

「・・・そっか・・・」


(中尾さん、いつもまりんちゃんに気を配っていたもんね・・・)


「まあ、そんなわけだから。マネージャーの中尾さんとしてもイメージ低下は避けたい訳だ。だから、中尾さんとも約束したんだ。

二度とゆりりんたちに関わらせない、キス写真は消す、その代わり私たちも撮影した動画を消して、これ以上まりんの本性を他言しないようにするってな」

「うん・・・」

お互いの交渉成立。

これで円満解決になるのかな。


(・・・あ、でも・・・)


「あそこ・・・『たかはし』で、他のみんなもまりんちゃんの映像見たでしょう。あれだけいたから、誰か言っちゃうかもしれない」

あの場には、ロボット開発部が全員集合していたのだ。

自分に利害のない話だし、ゴシップとして誰かに話してしまう人も、一人や二人じゃないかもしれない。

「ああ。それは大丈夫。『ラブリボンのコンサート最前列席ご招待』で、みんな秘密を守ってくれることになったのだ。

メンバーとの握手付きで、楽屋にも招待するって約束をして取引完了。ゆりりんの職場の人は、みんな単純でいい人たちだな」


(・・・確かに・・・)
< 280 / 314 >

この作品をシェア

pagetop