リアルな恋は落ち着かない
まりんちゃんの本性に、みんな衝撃を受けたけど。

なんだかんだで、彼女は住む世界の違う芸能人。

割り切ったのかもしれないし、ただ単に引き換え案に惹かれたのか納得したのか、そこはわからないことだった。

「井崎さんたち女子二人は、ラブリボンには興味が全くないそうだけど。ゆりりんのためだから、他言はしないでいてくれる。本当は、言いまくりたいそうだけど」

「そっか・・・」


(井崎さんと美瑠久ちゃんにも、後でお礼をしなくては・・・)


「・・・なんて。ここまで約束したけれど。鈴島まりんは相当ハートが強いから。『万一ばらされたら、その時は腹黒キャラに変身しまーす』とか言って開き直っていたからな。あっちは心配ないと思うぞ」

「ええっ」

驚いた後、思わず私は笑ってしまった。

まりんちゃんは、多分どう転んでも、あの世界で強く生きていけると思った。

「まあ、そんなわけだから。もう心配事はなにもないぞ。思う存分どこでもいちゃついてくれ」

「うん。そうそう」

ももさんの言葉に続き、宇佐美くんが真面目な顔で頷いた。

私と五十嵐くんは、その様子に顔を見合わせ笑ってしまった。

「・・・よし!じゃあ、話も出来たし、後はラブラブなお二人で。元々、今日はデートの予定だったんだろう」

「うん。でも大丈夫・・・って、ももさんたちもデートだよね」

「そう。ラブラブではないけれど」

淡々としたももさんの言葉に、宇佐美くんが「ははは」と笑う。

二人の関係性は未だにちょっとなぞだけど、仲がいいのは間違いなさそう。

「では、また今度。四人でどこかに飲みに行こう」

「うん」

みんな笑顔で頷いた。

そして、私と五十嵐くん、ももさんと宇佐美くんの二手に分かれ、私たちはファミレスを後にしたのだった。








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