リアルな恋は落ち着かない
ももさんたちと別れた後、私と五十嵐くんは、海沿いにある山下公園に行こうと決めた。

天気がいいし気持ちいい、と彼が提案してくれたのだ。

たわいもない会話をしながら、二人並んで歩く道。

つかず離れず、30センチの微妙な距離は、ドキドキと歯がゆさを両方感じるようだった。

「・・・そういえば。宇佐美たち電車間に合ったかな」

横浜スタジアムを抜け、広い歩道に入ったところで、五十嵐くんが呟いた。

ももさんたちは、「特別列車を見に行くんだ」と、さよならの手を振り合った後、突然走り出したのだった。

「そうだね・・・。二人とも速かったから、間に合ったんじゃないのかな」

「ああ、花山さんも走るの速かったですね。正直驚いた」

「うん」

二人で笑う。

ぽっちゃり体型のももさんだけど、宇佐美くんに負けず劣らず、爽快な走りで周りの通行人たちも驚いていた。

「あの二人は、つきあっているのかな」

「・・・どうでしょうね。宇佐美は好きだと思うけど」

「うん。ももさんも、好きだと思う」

「まあ、あの二人は独自のペースがあるだろうから。いずれにせよ、そのうちちゃんと付き合いますよ」

「うん・・・。そうだね」

ももさんと宇佐美くんには、うまくいってほしいと思う。

けれど私が心配しなくても、二人はきっとうまくいくし、すでにもう幸せなのかもしれなかった。


(仲がいいのは確かだもんね・・・)


と、考えながら歩いていると。
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