リアルな恋は落ち着かない
それはちょっと残念に思う。

袴姿は、本当にとてもかっこよかった。

それなのに、もう二度と見られないなんてと内心がっかりしていると、それが顔に出ていたのか、五十嵐くんはぷっと笑った。

「・・・着てほしい?」 

「えっ!?あ、う、うん・・・」

「できれば・・・」とモゴモゴ口ごもる。

着てほしいのは確かだけれど、こういうことをお願いするのは、やっぱりイタいんじゃないかと思う。

なんせ本人は嫌がってるし・・・と考えていると、五十嵐くんは何か思いついたのか、「ああ」とひとりで頷いた。

「橘内さんがあれ着てくれたら考えますよ。いつか見た、超ミニのセーラー服」

「!」

驚く私を、彼はからかうような顔で笑った。


(本気かな・・・)


それはわからないけれど。

リアル光之助の五十嵐くんとまた会えることを考えて、思わず気持ちが揺れたのだった。










< 285 / 314 >

この作品をシェア

pagetop