リアルな恋は落ち着かない
遠慮するなと言ったって、遅い時間にわざわざ家まで送るのは、やっぱり大変なことだもの。

そう考えて少し顔をうつむけると、彼は気づいたように「ああ」と笑った。

「迷惑って意味じゃなくて。オレの家に連れて帰れればいいなってこと」

「!」


(そ、そっち・・・)


この1ヶ月、関係を深める心の準備は結局できていないまま。

だから泊まることはもちろん、柊吾の家におじゃますることさえしていない。


(やっぱり、そろそろ進めなきゃかな・・・)


そんなことを思っていると、彼は気持ちを読んだのか、「違うよ」と苦笑する。

「急かしたいってわけじゃなくて。ただ、もっと一緒にいたいと思っただけ」

「一緒に・・・」

「そう。だけど家に連れて帰ったら、襲わないって保証はないし」

「う、うん・・・」


(そっか・・・)


私自身、だいぶ気持ちは前進してる。

だけどいざ「これから!!!」って考えると、余計な知識ばかりが邪魔をして、すぐに決意が鈍ってしまう。

26年間彼氏がいなかった分の重さは、こういう時、自分の行動の足枷になってしまうのだ。

「・・・まあ、泊まりたくなったらいつでも言って。気長に待ってるから」

「うん・・・」

それはいつ頃になるだろう。

一緒にいたい気持ちはあるのに、あと一歩の勇気が出ない。

そんなことを考えながら歩いていると、もう、私のマンションは目の前だった。
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