リアルな恋は落ち着かない
けれど柊吾は、大変なことをした、というショック状態が抜けないようで、いまだ苦悶の表情だった。


(もう・・・。お兄ちゃん、もう少し普通にしてくれればよかったのに・・・)


なんて、お兄ちゃんを責めるけど。

もしも私が逆の立場だったなら。

お兄ちゃんと(今はいない)彼女を前に、同じリアクションをしてしまうような気がした。

「・・・仕方ないな・・・」

気持ちを切り替え、彼がはあ、と息を吐く。

「お兄さんにも会ったことだし。今日は一人で帰るから」

苦笑いして、柊吾はまた私の頭をポンポンポン、と軽くたたいた。

確かに、この状況を見られた以上、今更「外泊する」と言ったなら、柊吾の家に泊まるってバレてしまうのは確実だ。

「・・・ごめんね」

「いや。優里菜が謝ることじゃない。元々、そのつもりだったんだし」

言いながら、柊吾は私の頭を撫でてくれる。

やっぱりこの感覚は好き。何度されても、心が甘く震えてしまう。

「残念は残念だけど。ある意味オレららしいだろ。ちょっと笑えるというか」

「・・・うん」

顔を見合わせて、二人で笑った。

そして気持ちが落ち着いた後、柊吾は甘い顔で言う。

「でも、準備はできたんだ」

「え?」

「優里菜の言ってた心の準備。もう大丈夫ってことでいい?」

「・・・・・・うん」

改めて、確認されると恥ずかしい。
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